赤ワインの適温の話
「赤ワインは常温で」
この言葉を聞いたことはありますか?
実は、この「常温」という言葉が多くの誤解を生んでいます。
この記事では、赤ワインを最高に美味しく飲むための適温について、詳しく解説します。
「常温」の落とし穴
フランスの「常温」と日本の「常温」は違う
「常温(Chambre)」という概念は、フランスで生まれた言葉です。
問題は、フランスと日本では「常温」の温度が全く違うということ。
| 場所 | 「常温」の目安 |
|---|---|
| フランスのワインセラー | 15〜17度 |
| 日本の夏の室内 | 28〜30度 |
| 日本の冬(暖房あり) | 20〜25度 |
つまり、日本で「常温」のまま赤ワインを飲むと、本来の適温より5〜15度も高い状態で飲んでいることになります。
結論 日本では、赤ワインを**「少し冷やす」のが正解**です。
温度が味に与える影響
温度が変わると、味も変わる
同じワインでも、温度によってまったく違う印象になります。
| 状態 | 温度 | 味わいへの影響 |
|---|---|---|
| 温かすぎる | 20度以上 | アルコールが目立つ、タンニンがダレる、フレッシュさが失われる |
| 適温 | 14〜18度 | バランスが良い、香りが豊か、果実味とタンニンが調和 |
| 冷たすぎる | 10度以下 | 香りが閉じる、タンニンが硬い、酸味が際立つ |
具体的にどう変わるか
| 温度 | アルコール感 | タンニン(渋み) | 香り | 果実味 |
|---|---|---|---|---|
| 高い(20度↑) | 強く感じる | ぼやける | 広がりすぎる | ぼやける |
| 適温(14〜18度) | ちょうど良い | まろやか | 豊かに開く | はっきり感じる |
| 低い(10度↓) | 弱く感じる | 硬く感じる | 閉じている | 隠れる |
赤ワイン別・適温ガイド
ワインのスタイルで温度を変える
赤ワインと一口に言っても、スタイルによって最適な温度は異なります。
| スタイル | 適温 | 代表的なワイン | ポイント |
|---|---|---|---|
| ライトボディ | 12〜14度 | ボジョレー、ヴァルポリチェッラ | やや冷やして。飲むうちに温度が上がり、香りが開く |
| ミディアムボディ | 14〜16度 | ブルゴーニュ(ピノ・ノワール)、キャンティ | セラー温度(15度前後)が理想 |
| フルボディ | 16〜18度 | ボルドー(カベルネ)、バローロ、シラー | 18度を超えないように注意 |
覚えやすいルール
軽いワイン → 冷たく(12〜14度)
重いワイン → やや温かく(16〜18度)
簡単な目安 「ボディが軽いほど冷やす、重いほど冷やさない」と覚えましょう。
実践:温度の調整方法
ワインが温かすぎる場合
| 方法 | 所要時間 | コツ |
|---|---|---|
| 冷蔵庫に入れる | 15〜30分 | 入れすぎ注意。こまめにチェック |
| アイスバケット | 5〜10分 | 水と氷を半々で |
| 氷を1つグラスに入れる | 即席 | 邪道だが緊急時には有効 |
ワインが冷たすぎる場合
| 方法 | 所要時間 | コツ |
|---|---|---|
| 手のひらでグラスを包む | 2〜3分 | 最も自然な方法 |
| 室温で放置 | 10〜15分 | 急がないときに |
| ぬるま湯につける(ボトル) | 5分 | 温めすぎに注意 |
季節別の対応
日本の四季に合わせた温度管理
| 季節 | 室温の目安 | 対応 |
|---|---|---|
| 夏 | 28〜30度 | 赤ワインも冷蔵庫で30分〜1時間冷やす |
| 秋・春 | 20〜25度 | 軽く冷やす(15〜30分) |
| 冬(暖房あり) | 22〜25度 | 暖房の当たらない場所で保管 |
| 冬(暖房なし) | 15〜18度 | そのままでOKの場合も |
夏のポイント 夏は特に注意が必要です。赤ワインも冷蔵庫で冷やしてから提供するのがおすすめです。
デカンタージュと温度
デカンタージュ中は温度が上がる
重い赤ワインを別の容器(デカンタ)に移す「デカンタージュ」をする際は、温度にも注意が必要です。
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| デカンタージュ中に温度が上がる | 空気に触れることで1〜2度上昇 |
| 夏場は特に注意 | 最初から1〜2度低めに冷やしておく |
| デカンタを事前に冷やす | 冷蔵庫で冷やしたデカンタを使う方法も |
温度の確認方法
自分で適温を見つける
| 方法 | 精度 | おすすめ |
|---|---|---|
| ワイン用温度計 | 高い | 本格的に楽しみたい方に |
| ボトルを触る | 中程度 | 冷たすぎず、温かすぎず |
| 飲んで判断する | 感覚次第 | 最終的にはこれが一番大切 |
飲んで判断するコツ
| 感じ方 | 状態 | 対処 |
|---|---|---|
| 「アルコールがツンとする」 | 温かすぎる | 少し冷やす |
| 「渋みが強すぎる」 | 冷たすぎる | 手で温める |
| 「香りが弱い」 | 冷たすぎる | 少し待つ |
| 「バランスが良い」 | 適温 | そのまま楽しむ |
まとめ:赤ワインの適温ポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 「常温」は正しくない | 日本では冷やすのが正解 |
| ライトボディ | 12〜14度(やや冷たく) |
| ミディアムボディ | 14〜16度(セラー温度) |
| フルボディ | 16〜18度(冷やしすぎない) |
| 夏は特に注意 | 赤ワインも冷蔵庫で冷やす |
最後に:自分の「美味しい」を信じる
温度の数字はあくまで目安です。
最終的に大切なのは、あなたが「美味しい」と感じる温度で飲むこと。
- 「アルコールっぽいな」と感じたら → 少し冷やす
- 「硬いな、香りが弱いな」と感じたら → 少し温める
ワインは、あなたの感覚に応えてくれます。
当店では、それぞれのワインを最適な温度で提供することを心がけています。
温度について気になることがあれば、お気軽にソムリエにお声がけください。あなたにとって最高の一杯を、一緒に見つけましょう。